山に咲くユリの球根が粉に変わる!
- 2021.05.31
- written by 鵜飼 優子

緑が美しい季節になりましたね。お山にはいろんな植物が生えていて、天ぷらなどにしてそのまま食べられるものや手を加えて加工して使うものなど、使い道がたくさんあります。
佐賀のお山に暮らす皆さんは、昔から山の植物と共存して暮らしていて、植物のことをよく知っておられます。季節ごとに山に入られ、山の手仕事をされています。わたしも季節を通して、皆さんに教わりながら、山の手仕事を体験させてもらっています。
今回は、山に自生しているユリの一種「ウバユリ」 から粉を取るという体験をしてきました。山菜を摘んで食べるのとは違い、何やらハードルが高そうな気がしますね。どんな風にゆり粉になっていくのでしょうか。
今回、「佐賀市婦人林業研究会」の皆さんのゆり粉とりの活動に参加させてもらいました。
「佐賀市婦人林業研究会」は、富士町を拠点にした林業や山に関する活動をされている女性グループです。富士町には昔、ゆり粉を採る文化があったのですが、いつの間にか忘れ去られてしまったそうです。「佐賀市婦人林業研究会」の皆さんは、そんな大切な山の恵を次の世代に繋げていくために、研究を6年も続け、やっとたどり着いたのが今の形だそうです。
では、実際に体験したことをレポートしてみますね。
まずは材料となるウバユリの根を掘ります。ウバユリは、山地の少し湿り気のある西日が当たる木陰に多く自生しているそうです。

こんな風に葉っぱがでているので、葉っぱの根元を掘っていきます。
掘っていくと白くて、つやっとしたユリ根(ウバユリの球根)が見えてきます。

そのユリ根を削ったり傷つけたりしないように優しく掘っていきます。球根から根っこがしっかり張っているので、なかなか一筋縄ではいきません。
わたしがゆっくりゆっくり掘ってる間に、婦人林研のお母さんたちはすっすっと掘っていきます。さすが、スピードが全然違います!!
やっとこさ、掘り起こすときれいな白い色のユリ根が……!

上の葉の部分と下のひょろとした根の部分は切り落としておきます。
山一面にウバユリがあるわけでないので、目をこらして、ときには壁をつたい、ときには斜面を下り、狙った獲物を逃がさないハンターのよう に場所を移動しながら、どんどん掘っていきます。3時間くらい夢中で掘りました。
さあ、材料は収穫したのでここから粉にしていきます 。
ユリ根をざっと洗い、根の部分に切り込みを入れ、ひとつになっているユリ根を分けていきます。

分けたユリ根をきれいに洗ったら、水とユリ根をミキサーにかけます。
ミキサーにかけたものをざるで濾して、繊維と分けて、もう一度ミキサーにかけます。2、3回ミキサーにかけることでよりなめらかになっています。
濾したものを水にさらして、沈殿させて、上に出てくる砂などの不純物を取り除いて、また濾して、水を入れて…と繰り返していきます。

上澄みの水がだんだん透明になり、不純物で濁っていたゆり根がきれいに白くなっていきます。
そうして、きれいな白い状態 になったら、自然乾燥させて、ゆり粉の出来上がり。

ゆり粉は、「ゆり菓子」という地元名産のお菓子になったり、粉のまま活用されたりします。昔から風邪をひいたときなどお湯で溶いて、くず湯のように飲んでいたそうです。
手間暇かかる貴重なゆり粉。ユリの根から粉をとるなんて、とっても貴重な経験をさせてもらいました。
山にある植物は、ただの植物ではなくいろんな使い道があるんですね。またひとつ山ならではの暮らしを味わうことができました。
佐賀市婦人林業研究会の皆様ありがとうございました。



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<取材記者>
鵜飼 優子
「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
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<取材記者>
鵜飼 優子「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
大阪府高槻市出身、ひつじ年。今まで暮らしたことのある地域は、北軽井沢、阿武、萩、佐伯、そして個人的にもご縁を感じている佐賀のお山にやってきました。幼稚園教諭やドーナツ屋さんなど様々なことにチャレンジしています。将来は、こどもとお母さん、家族が集える場所を作ることが目標。佐賀のお山の暮らしを楽しみながら情報発信しています。

