令和7年(2025年)4月25日、太良町にある佐賀県立太良高等学校(以下、太良高校)において、地域連携型の総合学習の一環として多良岳登山が実施されました。
この取組は、多良岳の素晴らしさを発信しようと地元で活動されている「多良岳を愛する会」の協力により、令和4年度から始まった「山の授業」です。
「多良岳」とは、長崎県諫早市と佐賀県太良町にまたがる多良山系の一峰で、国見岳、いわゆる多良岳(太良嶽神社の祠があるところ)、前岳(本多良岳)の3つのピークを総称して呼ばれています。
※標高は国見岳が996m、前岳の三角点は982.6m。
この日、太良高校の2年生約50名の生徒が多良岳登山に挑戦する模様をレポートします。
準備体操ののち、いざ出発!
高校生を乗せたバスが9時30分に金泉寺作業道の入り口に到着。
当日アテンドしてくださったのは、多良岳を愛する会の皆さん。
会長である池田清哉さん(通称マウンテン池田さん)から挨拶や登山の際の注意事項などの説明がありました。

準備体操(オリジナルの「竹崎かに体操」も!🦀)を行い体をほぐし、トレッキング開始!
オリエンテーションを行ったのち、まずは作業道沿いの舗装された道を歩いて金泉寺を目指します。
途中、法面の地質を観察できるポイントでガイドの方の解説がありました。
この土はもともと阿蘇山の噴火で飛んできた灰、なのだそうです🌋
実際に土を触りながら、火山灰由来の細かい粒子を確認しました。

山岳信仰の歴史ある金泉寺
作業道を30分ほど歩くと、休憩ポイントの金泉寺に到着。
金泉寺は、平安時代に弘法大師が太良嶽三社大権現の神宮寺として創建したと伝えられるお寺です。
山ごもりの修行僧にとって、きれいな水が湧き出る泉の場所という由来があるそうで、登山者の給水スポットでもあります。
ここには山小屋もあり、長崎県の団体「多良岳 金泉寺山小屋の会」の皆さんがボランティアで運営されています。
山小屋の皆さんのお世話になり、お手洗いや給水のための休憩をとりました。
※なお、お手洗いは微生物の分解能力を利用した「バイオトイレ」です。
使用したペーパーは便器に流さずごみ箱に捨てる、用を足した後は微生物が働きやすいようレバーを回して攪拌する、などのマナーを教えていただきました。

多良岳の豊かな自然について学ぶ
金泉寺を出発し、いよいよ山の中の登山道に入ります。
10分くらい歩くとすぐに、鳥居の前に着きました。
多良岳の周辺一帯は「佐賀県立自然公園」、さらに山頂付近は「佐賀県自然環境保全地域」の特別地区に指定されています🌳🐛
そのことを示す看板の前で、希少な動植物が生息・生育している多良岳の豊かな自然環境について、マウンテン池田さんをはじめ、ガイドの皆さんから解説がありました。
地元の子どもたちに誇りをもってもらえると嬉しいですね💓💪

役(えん)の行者像
鳥居の前には一本下駄を履いて全国を巡って庶民を救済した修験道の開祖「役(えん)の行者さん」が鎮座しています。
今回の山行の無事を祈り、先へ進みます。

山頂までのルートで、くさり場など危険な場所も通ります。
事前の座学で習った「安全な登り方」を思い出しながら、生徒も多良岳を愛する会の皆さんも真剣な表情です。

道中、ところどころに梵字岩や六体地蔵菩薩などの史跡が残っていて、修験道としての歴史の深さをうかがい知ることができます。

多良岳山頂に到着!
金泉寺から40~50分のトレッキングの後、遂に山頂(太良嶽神社上宮)に到着しました❗🙌
最短距離のコースなので、運動部の生徒さんにはちょっと物足りなかったかも?

池田さんの声掛けにより、やまびこに挑戦しました。
1人1ヤッホー。こだまが返ってくると嬉しいですね🍃


多良岳山頂の標柱は、山の会議(仮)をきっかけとして、令和3年(2021年)にマウンテン池田さんの声掛けにより、太良町森林組合、太良嶽神社、そして地元の書道家や彫刻家の協力を得て制作、町内外の様々な方々の協働により設置されました。
標柱を設置するイベントの際には、太良高校⚾野球部の生徒さん方も参画し、標柱を山頂までバケツリレー方式で運んだのだそうです😲
標柱の重さはなんと40Kg!!
山登りをしながら運ぶのは大変な重労働だったことでしょう💦
上宮周辺の清掃とともに、標柱が少しでも長持ちするように柿渋を塗る作業も交代で体験しました。
無事に金泉寺へ帰着
12時を過ぎた頃、各班が続々と金泉寺に帰着。
帰着した班から、随時昼食をとりました。
食後のおやつに、多良岳を愛する会メンバーの方が、手作りのかりんとうを差し入れてくださいました(なんと、生徒+先生+スタッフの約80名分!!)🍠✨
生徒さん方も行動食(おやつ)を持ってきていて、スタッフの方に配ったり交換したりする姿もみられ、地元の方との交流のひとときを過ごしていました。
地元の子どもたちが登りに来てくれたと、山小屋の皆さんもとても喜ばれていました。

おわりに
地元の中学校である太良町立多良中学校及び大浦中学校でも、多良岳登山の学習が取り入れられています。
この取組が始まった当初は、ほとんどの生徒が多良岳に登ったことがありませんでした。
今年登った子たちの中には、小学校や中学校のときに登ったことがあるという生徒さんもちらほらおられ、池田さん方の活動の広がりを感じた一日でした。

多良岳を愛する会の皆さん、ご案内ありがとうございました!
そして、太良高校2年生の皆さん&引率の先生方、山登りお疲れさまでした!
太良町の先輩方の想いを胸に、地元の山「多良岳」の豊かな自然や歴史をぜひ未来へつないでいっていただきたいです😊💓

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山の会議(仮)の名称は、地域で話し合いを進めていく中で、各ブロックの会議の名称や取り組みも自分たちで創りあげていただきたいという思いから「(仮)」をつけています。
山の会議(仮)はこれからの山の暮らしや営みを持続可能にする、はじめの一歩です。
今後も自発の地域づくりの推進に取り組んでいきたいと思います!

関連リンク
⛰️多良岳を愛する会 Instagram
URL: https://www.instagram.com/taradake_lovers/
⛰️佐賀県立太良高等学校 Webサイト
URL: https://www.education.saga.jp/hp/tarakoukou/