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「コハダといえば佐賀!が当たり前になってほしい」舩口直子さん(竹崎コハダ女子会)インタビュー

「コハダといえば佐賀!が当たり前になってほしい」舩口直子さん(竹崎コハダ女子会)インタビュー
太良町地域と人
太良町

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竹崎カニや竹崎カキなど海の幸に恵まれた太良町竹崎地区。近年、このエリアでプッシュされているのが高級魚コハダ。竹崎地区は全国でも知られるコハダの産地の一つですが、そのほとんどは東京に出荷されており、地元である佐賀の人たちが食べる機会はあまりありませんでした。マルシェや食のイベントを通じて佐賀の人がコハダを食べる機会を増やしたい、と立ち上がったのが竹崎地区の女性たちで結成した「竹崎コハダ女子会」。2016年の結成以降、さまざまな取り組みを行い、佐賀だけではなく全国的にも、コハダの名産地として佐賀の知名度を上げています。

竹崎コハダ女子会のリーダーである舩口直子さんに、結成のきっかけやこれまでの活動について伺いました。

舩口 直子さん(ふなぐち なおこ)さん

竹崎コハダ女子会リーダー

長崎県出身。結婚を機に太良町へ。2016年に発足した竹崎地区で獲れるコハダをPRする竹崎コハダ女子会ではリーダーを務める。

https://www.instagram.com/kohadajyoshikai

コハダとは

画像引用元:竹崎コハダ女子会Instagram
https://www.instagram.com/p/Bz1plkwnLKX/

大きさによって名前が変わる出世魚。8~10cmくらいの頃を「コハダ」という。有明海は全国的にみても大きな産地の一つ。江戸前寿司のネタとして好まれる。

コハダの可能性と知名度を高めてきた9年間

—2016年に竹崎地区の女性たち8人で発足したコハダ女子会。始めるきっかけを教えてください。

県の職員さんから太良町の名物としてコハダをPRしませんか、と声をかけてもらったことです。太良町はカニやカキが有名。コハダは当たり前に獲れる魚でそんなに価値がなかったんですよね。だから、「え?なんでコハダ?」と不思議だったんですけど、職員さんから「東京ではものすごい高級魚として扱われているのに、それを地元で発信しないのはもったいないですよ」と言われて、確かにそうだなと。

自分と同じような、竹崎の女性たちとわいわいしながらPRするのは楽しそうだなと思って始めました。

8人で始まった竹崎コハダ女子会。現在は7人で活動中。画像引用元:竹崎コハダ女子会Instagram (https://www.instagram.com/p/BxivyVjgEB4/

—この9年、どんな活動をされてきましたか。
最初は、みりん干しを作って佐賀県庁の一室で販売したんです。売れるのかな?と思っていたら、あっという間に完売でした。次に、さが桜マラソンに出展しませんか?と言われたのでコハダフライを出したらこちらも完売。

だんだん手ごたえを感じてきて、太良町で年に1回「コハダ食堂」という太良町の家庭に受け継がれているコハダ料理を振る舞うイベントを企画・開催したり、マルシェに出展したり、コロナ禍ではオンラインショップでコハダを買えるようにしたりと、自分たちで決めて動くようになっていきました。

竹崎コハダ女子会のPR動画

それから、レストランのシェフと共同でメニュー開発を行ったり、東京の寿司職人さんともコラボしたりと、コハダの可能性を広げる取り組みにもチャレンジしました。

PR活動をやったことがないメンバーばかりなので、最初の頃は、どういう料理で出そうか?どうすればかわいく見えるかな?とみんなで話し合いながらやっていましたが、それも楽しかったですね。

—さまざまな活動をされていますが、特に手ごたえを感じた取り組みを教えてください。

一つは自分たちで企画・開催した一日限定の「コハダ食堂」です。竹崎地区のお寺「光福寺」で、押し寿司や天ぷら丼、つみれ汁といった家庭に受け継がれているコハダ料理を組み合わせたコハダ定食を提供しました。120食ぐらい用意していたところ、会場に入りきれないほどたくさんのお客さんがいらっしゃって。企画や場づくりも自分たちでやってみようかという軽い気持ちでやったのですが、コハダを食べたい人がこんなにいたんだと強く実感しました。

料理教室で作ったコハダの天ぷら、コハダ押し寿司、コハダつみれ汁。コハダ食堂でも同様の料理を提供した。
画像引用元:竹崎コハダ女子会Instagram
https://www.instagram.com/p/B3VjhQ9n6Dl/?img_index=1

コハダの収穫量に左右されるので、過去3回ほどの開催でしたが、その度に「待っていたよ」と言っていただけるのも嬉しかったですね。
太良町にコハダ目当てに来たお客さんを地元住民が見るのもそれまでなかったことなので、コハダの価値に気づく機会になったのかなと思います。
収穫量次第ですが、来年以降も続けていきたいです。

もう一つは、2021年に佐賀県主催のイベント「USEUM SAGA」で東京のレストラン・abysseの目黒浩太郎シェフ、有田町のレストラン・Arita huisの増永琉聖シェフにコハダを使ったレシピを考案してもらったことです。私の中では、コハダを使った料理は寿司や刺身しか思い浮かばなかったけれど、思いもよらないようなすてきな料理になっていて、すごく美味しかったんですね。

USEUM SAGAで考案されたメニュー

目黒シェフからは「お寿司とはまた違う、コハダの魅力を出せた」とおっしゃっていただけて、どんな料理にも通用する食材なんだなと思える良いきっかけになりましたね。

今でも連絡を取り合っていて、「コハダが旬の時期に送ってほしい」と言っていただけているので良かったなと思っています。


—コハダ女子会の活動を通じて太良町の人たちの意識は変わったと感じますか。

カキやカニの方が単価が高いこともあって、コハダにはそこまで価値を感じられていなかったんですね。旅館の小鉢に使われていてもコハダという名前は出されていなかったぐらい。最近は、旅館や飲食店の方がコハダの名を冠した定食を出すようになったり、「これはコハダの刺身です」とお客様に紹介したりしているようです。知名度が高まっているな、活動してきて良かったなと思いました。

コハダが獲れる竹崎島。有明海に面しており、カニやカキも名産。

活動が実を結び、コハダ=佐賀になりつつある

—10年近く活動してきてコハダの見られ方や知名度が上がってきたと感じますか。

最近、テレビやネットで「コハダの名産地は佐賀」と言われるようになってきたんですよね。元々、「佐賀のコハダはおいしい」と言ってくださっていた寿司職人さんはたくさんいらっしゃったんですけど、一般のメディアでもそういう扱いになったのが嬉しいです。
地元での地道な活動が、メディアでの紹介につながったり、幅広い層に「佐賀のコハダは美味しいらしい」と広まったりと実を結んできたのかな、やってて良かったなと感じます。

2025年9月末に開催された、たらふくマルシェではシンコ(コハダに成長する前の状態)を揚げて甘辛いタレに絡めた「カリカリコハダ」を提供。短時間で売り切れる盛況ぶりだった。
やわらかく、噛むと旨味を感じるカリカリコハダ

—今後の活動について教えてください。

コハダ女子会のメンバーは漁師の奥さんが多く、会を始めた頃は、家事や子育ての合間を縫って活動していました。最近は、家族と漁に出ることが増えてきて、県内のマルシェイベントには時々参加していますがこれまでのようにがっつりイベントに出たり、企画したりするのは難しくなっています。

メンバーだけで活動することにこだわるのではなく、かつての私たちのように結婚して太良町に来た人や住んでいる人など、誰でも参加できる会にしたいなと思っています。イベントの時に、少し運営を手伝ってもらうのもいいかなと。

幸いこれまでの活動のおかげで地域での認知度は結構あって、「コハダ女子会ですよね」と言ってもらえることもあります。それを活かして、いろんな人たちと接点を持ちながら新たなものを吸収していけたらな、と。

たらふくマルシェにて、メンバーの皆さんと舩口さん(写真右)。

コハダをPRできる場があって、ノリの合う仲間が集まって、この10年近く活動を続けてきました。地元で開催するイベントもあれば、県外の人とのコラボレーションもあり、その時々の機会やご縁を楽しんできたのが今につながっています。

コハダのPRと活動の楽しさが両立できるのが一番。 今は自分たちらしくゆるやかに長く続けていきたいなと思いながら活動しています。メンバーたちの子育てがひとしきり終わって落ち着いた頃に、また精力的にやっていきたいです。

—ありがとうございます。太良町でコハダを食べたい、となったらどうすればいいですか?

竹崎コハダ女子会のイベントはInstagramで情報を発信しているのでそちらをチェックいただけたらと思います。

あと、太良町内でコハダ料理を出している飲食店がいくつかあるので、InstagramでDMをいただけたらそういった情報もお伝えします。

太良の人は太良町のことが大好きで、コハダやカキ、カニは太良のものが一番おいしいと誇りに思っています。 私たち竹崎コハダ女子会も、太良町でコハダを食べていただけたら嬉しいです。

竹崎漁港の風景
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